揚州湖筆

揚州湖筆

中国産の筆は現在は、蘇州、上海、湖州、杭州等で生産されていますが、唐明、清以降は、浙江省湖州市で作られている「湖筆」が、有名です。

1956年に設立された浙江省湖州市の善璉湖筆工場は、中国国家級無形文化遺産である湖筆制作技法の生産性保護基地となっています。太湖のほとりの湖州市で生産されている毛筆で、その極めて優良な品質は、古くから中国内外に知られ、良質な毛筆の代名詞となっています。

湖筆の種類は非常に多く、軟毫には墨吸いが良い山羊等の柔らかい毛が使われ、硬毫は主に馬の尾などの毛が使われ、兼毫は柔らかい軟毛と剛い硬毛の２種類の原毛から作られます。軸部分には、伝統的に浙江西の文山に自生する鶏毛竹が使用されます。

年間約60万本の湖筆を生産しており、売上は約1億3200万円となり、日本や韓国などの国と地域に販売しています。善璉湖筆工場は現在も従来の方法で生産しており、熟練の職人たちが新人を指導しながら、湖筆の伝統生産技法を伝承しています。同市善璉鎮は湖筆の発祥地であり、主要生産地でもあります。同地には現在200軒以上の筆製造企業と工房があり、2016年の同地全体の湖筆及び関連商品の生産総額は約33億円に達するといわれています。